アメリカのミシガン州にてポスドク生活始めました。


by Doctor_bear13
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インフルエンザ

ここ最近、ちまたで「鳥インフルエンザ」や「タミフル(インフルエンザの治療薬)の副作用」が、話題になっている。しかし、マスコミが流す情報は、偏っていることが多く、世間に不安ばかりを与えているように思えてならない。

そこで、今日は、「インフルエンザ」について、僕なりに勉強したことを簡単にまとめて、かつそれに対する考察を加えてみたいと思う。


<インフルエンザとは?>

インフルエンザとは、毎年冬になると流行する風邪の原因となるウイルスの一種なのだが、時に世界的に大流行してたくさんの死亡者がでたり、小児では脳炎などを起こして死に至る可能性もあったりするので非常に注目度が高い。

インフルエンザウイルスは、増えていくときにその性格がコロコロ変わりやすいので終生免疫がつかず、また、感染力がとても強いので時に爆発的な大流行を起こすことがある。

これが、インフルエンザの厄介なところなのである。

<鳥インフルエンザはなぜ怖い?>

では、鳥インフルエンザは、何なのかというと・・・

鳥インフルエンザウイルスは、直接人間に感染することはないが、豚には感染することができる。豚は、鳥インフルエンザにも人インフルエンザにも感染してしまうらしい。そして、豚に感染した鳥インフルエンザが、豚を介して人に感染するインフルエンザウイルスに変身するのである。また、鳥インフルエンザもコロコロ変わりやすいので、その経過の途中で弱いウイルスも強力なウイルスになる可能性があるのである。

したがって、鳥インフルエンザが、豚に感染して、増えているうちにその性格が変わって超強力な新型インフルエンザになって、大流行する可能性があるってことが、怖いのである。

<インフルエンザの予防法>

それでは、インフルエンザにかからないようにするためには、どうしたらよいのだろうか?

当たり前のことだが、手洗いやうがいをすること、また、小さい子供のいる家庭では、人ごみをさけることなどが必要である。しかし、一番の予防法は、予防接種を受けることだと思われる。

インフルエンザは、だいたい1月から2月に流行することが多いので、11月から12月の間には接種しておくべきであろう。

1歳未満の小児では、予防接種をしても抗体がつかないことが多いので、そのような小さい子供のいる家庭では、家族の人が予防接種をうけて、家にインフルエンザを持ち込まないということが重要である。

前述したように、インフルエンザは、コロコロ性格が変わりやすい。だから、毎年流行する型が違う。たいていは、パターンが決まっていて、その予想のもとに毎年の予防接種の型を決定しているが、予想は外れることも多い。

たとえ、型が違っていても予防接種を受けることによって、インフルエンザにかかったときの症状は、軽くなると言われているので、インフルエンザの予防接種を受けることの意味はあると思う。

しかし、予防接種は、注射液にアレルギー反応を起こしたりする人もおり、一概にすべて安全とは言い切れない。


<治療について>

もしインフルエンザにかかってしまったらどうすればいいのだろうか?

インフルエンザと言っても基本的には風邪なので、水分を取ってよく寝るというのが一番の治療法だと思う。

それでは、クスリはいらないのだろうか?

まず、抗生物質について・・・
抗生物質は、細菌性のものにしか効果がない。そして、インフルエンザは、ウイルスなので、抗生物質を投与することは、ナンセンスである。

解熱剤は・・・?
インフルエンザは、熱に弱いので、解熱剤の使用で熱を無理に下げることは、治りを悪くする可能性が高い。また、小児では、解熱剤の使用が、脳炎の発症の原因であると言われている。以上から、解熱剤を使うことあまりお勧めできない(とくに小児では、必要以上に使わない方がいいと思う)。

最近では、インフルエンザの治療薬(タミフル)がでてきて、世間では、インフルエンザになっても安心だという見方もあるが・・・
タミフルとは、唯一と言っていいくらいの抗ウイルス薬なのだが、その使い方には問題があると思う。

タミフルの効果は、インフルエンザのウイルスの増殖を抑え、発熱する期間を1-2日短くすると言われている。しかし、タミフルが脳炎を予防するかどうかは定かではない。

熱がでたら、すぐ病院に行ってインフルエンザの検査をして、クスリをもらおうって思っている人が日本には非常に多いと思う。確かに、クスリを飲めば熱は、早く下がるが果たして本当に全員に必要なのだろうか?

医者側からしても検査をして、インフルエンザとわかったのに、必要がないからといって、クスリを出さないのはなかなかできないのから、処方してしまう。

タミフルを今のペースで使い続けたら、抗生物質の耐性菌と同じように耐性ウイルスは、必ず現れると思う。もし世の中のインフルエンザがタミフル耐性になってしまったら・・・もしその耐性インフルエンザが大流行したら・・・恐ろしいことが起こるであろう。

そして、タミフルの日本における消費量は世界の7-8割と言う事実もみのがしてはならない(本当に日本人は、病院とクスリが大好きだなぁ)。この事実どう思います?

こういう抗生物質や抗ウイルス剤のたぐいは、必要なときにだけ使うようにしなければならないと思うのだが・・・

また、最近、テレビでタミフルのまれな副作用についていろいろ騒がれている(タミフル内服後に異常行動を起こして自殺したなど)が、ここだけを取り上げたらタミフルは怖いクスリということになってしまう。しかし、副作用はあるとしても、確かにタミフルはインフルエンザには有効なクスリなのである。ただ、副作用に対する認識が甘かったり、その使い方に問題があったりするだけであって・・・

以上からも、ただ漫然とインフルエンザだからといってすぐタミフルを飲むと言う考えは控えた方がいいかもしれない。
抵抗力のない幼児や老人などには、無条件で処方するとしても、服用後はしっかり監視するなどの対応をするよう促し、また、耐性ウイルスが出現しないように、健康な人たちは、水分を取って自宅で休むようにする。そして、超強力な新型インフルエンザの出現に備えて全世界でタミフルを保存するというようにしていかないと大変なことになってしまうのではないかと心配でならない。



<Dr. Bearなりの結論>

インフルエンザは、おそらくこの世の中からいなくなることはあり得ないと思うので、上手に共存していく必要がある。

1. 家に帰ってきたら、まず手洗い・うがいをする。

2. 予防接種のメリット・デメリットをよく理解した上で、自分が納得できればなるべく予防接種を受ける。小さい子供がいる家庭は必ず家族全員受ける。

3. もしインフルエンザにかかってしまったら、水分を取って家で休む。

4. タミフルは、小児や老人にゆずり、大流行がおこったときのためになるべく無駄に使わないで取っておく。

というのが、いいのではないかと思う。

結局長々と書いてしまったが、これが世間の不安を払拭する助けになればいいなぁと思う。
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by Doctor_Bear13 | 2005-11-16 23:56 | 日々のこと